百人一首9:
『花の色はうつりにけりないたづらに
わが身世にふるながめせしまに
小野小町』
■現代語訳
桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、
春の長雨が降っている間に。
ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のも
ろもろのことに思い悩んでいるうちに。
■小野小町(おののこまち)
(生没年未詳、9世紀ごろ)
平安初期の女流歌人としてナンバーワンとされる人。
小野篁(おののたかむら)の孫であるとか諸説があるが、
正確な経歴は分かっていない。
この歌をタネにして「卒塔婆小町」や「通小町」など、
「若い頃は絶世の美女と謳われたが、
老いさらばえて落ちぶれた人生のはかなさ」
を表現した謡曲や伝説が多数書かれています。
土地の美人のことを「××小町」などと言うのも小町伝説の影響。